七五三は、子供の成長を祝う大切な行事。
しかし、「うまく撮れなかった」「子供が笑わない」「背景がごちゃごちゃ」など、思ったような写真にならない・・・という声も少なくありません。
この記事では、現役フォトグラファーの目線で“成功する七五三撮影”のポイントを解説します。
スタジオ撮影でも、ロケーション撮影でも使える、構図・光・タイミングのコツをプロ目線で紹介します。
七五三撮影を成功させるための基本準備
撮影前に決めておくべき『3つのポイント』

七五三撮影を成功させる鍵は、“場所・時間・衣装”の3つを事前に明確に決めることです。
この3要素が整っていないと、当日の流れがバタついたり、光や背景の条件が合わず、せっかくの記念写真が台無しになりかねません。
まず、『場所』は、神社での自然光化、スタジオでの安定した照明か選びます。
時間は午前9時〜11時の柔らかい光がベスト。午後になると疲れが出やすく、表情も硬くなりがちです。
『衣装』は、和装の他に洋装を用意すると、シーンごとに雰囲気を変えられます。
小物(千歳飴や和傘)も事前の準備を。
撮影前の3ポイントを明確に計画しておくことで、当日のトラブルを避け、自然体の笑顔を引き出す撮影が可能になります。
段取りが整えば、心にも余裕が生まれます。
撮影当日に子供の緊張を和らげるコツ
子供を“撮る”のではなく、“遊ばせながら撮る”意識を持つことが、自然な笑顔を引き出す最大のコツです。
子供は、カメラを向けられると緊張し、表情が固くなります。
大人の『ちゃんと撮りたい』という気持ちがプレッシャーになってしまうからです。
撮影前にカメラを見せて「これで一緒に遊ぼう」と声をかけたり、シャボン玉や風船を使って自然な動きを引き出しましょう。
シャッターは、『笑った瞬間』ではなく、『笑う直前と直後』に切ると、より柔らかい表情が残せます。
七五三撮影の主役は、“完璧な写真”ではなく、“楽しむ時間”。子供の気持ちを最優先することで、後から見返した時に心が温かくなる一枚が生まれます。
プロが教える構図とポーズのコツ
構図の黄金比『主役は中央ではなく三分割』に

七五三撮影では、被写体を中央ではなく『三分割構図』で配置することで、バランスの取れた印象的な写真に仕上がります。
主役を中央に置くと証明写真のように平面的になりがちですが、三分割構図を意識することで空間に奥行きと動きが生まれ、より自然な印象になります。
カメラのグリッド線を活用し、縦横を三分割に。主役の顔や目線を交点に合わせることで、背景の神社や木々とのバランスが整います。
さらに、子供の目線の先に余白を残すと“ストーリーを感じる一枚”に仕上がります。
主役を少しずらすだけで、写真に『物語』と『呼吸』が生まれます。
構図の工夫こそが、プロとアマチュアを分ける最初の一歩です。
子供が自然に見えるポーズとは?
七五三撮影では『静止させない』ことが自然なポーズの秘訣です。
動きの中からこそ、その子らしい笑顔が引き出されます。
子供は、“じっと立つ”ことが苦手。動きの中にこそ、本来の表情や姿勢が現れます。
無理にポーズを取らせるより、自然な仕草を切り取る方が写真の温度が上がります。
千歳飴を持ち上げる瞬間、草履を直す姿、親と手を繋ぐ一歩。こうした何気ない所作にこそリアルな『成長』が写ります。
カメラマンは、“動きの予測”をしながらシャッターを構えるのがポイント。子供を“演出する”のではなく、“引き出す”。それが自然なポーズを撮るためのプロの視点です。
光と背景で『プロっぽい』写真に仕上げる
逆光を味方にする撮影テクニック

七五三撮影では“逆光”を恐れず、むしろ味方にすることで、柔らかく立体感のある写真が撮れます。
正面からの光は顔を明るく写す一方で、平面的な印象になりがちです。
逆光を使うと髪や輪郭に光が差し込み、背景と被写体のコントラストが生まれ、写真全体に奥行きが出ます。
太陽を背に、子供の顔にレフ板や白い紙で光を反射させると、暗くならずにふんわりした印象に仕上がります。
神社の木漏れ日を背景にすれば、光が柔らかく回り、まるでスタジオのような仕上がりに。特に午前9〜10時の光は最適です。
逆光は“失敗ではなく演出”です。
光を読む目を養えば、日常の一枚が一瞬でプロの作品に変わります。
背景選びで写真の印象が変わる
七五三撮影の背景は“主役を引き立てる舞台”。背景選び次第で、写真の印象と完成度が大きく変わります。
背景がごちゃつくと視線が分散し、主役である子供の存在感が薄れてしまいます。
反対に、シンプルで奥行きのある背景を選ぶことで、主役の表情や衣装がより際立ちます。
神社なら鳥居や灯籠を、自然光なら木漏れ日を背に構図を取るのがオススメ。背景をぼかす(F値を低くする)ことで、主役が浮かび上がるような立体感が出ます。
衣装の色と背景のトーンを合わせると、統一感のある上品な一枚に。
背景は“飾りではなく演出”。主役と背景が調和した時、写真は記録を超えて“作品”になります。
ロケーション撮影とスタジオ撮影、それぞれのポイント
ロケーション撮影の魅力と注意点

七五三のロケーション撮影は『自然の光』と『季節感』を活かせる点が最大の魅力です。
屋外撮影では、時間や天気によって光の表情が変わり、同じ場所でも一瞬一瞬で写真の印象が異なります。
紅葉や木漏れ日を取り入れれば、七五三らしい温もりと情緒を演出できます。
朝の柔らかい光を利用すれば肌のトーンが明るくなり、神社の石畳や鳥居が背景として引き立ちます。
ただし、天候や人混みによる撮影制限、子供の疲労なども考慮が必要。カメラマンは『最も光が綺麗な瞬間』を見逃さないよう、構図と露出を素早く調整する技術が求められます。
ロケーション撮影は“自然と共演する撮影”。天候リスクはありますが、成功すれば屋内では得られない感動的な一枚を残せます。
スタジオ撮影の魅力と注意点
スタジオ撮影の魅力は『光と構図の再現性』。安定した環境で確実に美しい写真を残せます。
スタジオは、照明・背景・温度が一定に保たれており、失敗が少ないのが特徴です。
雨の日でも撮影ができ、衣装替えや小物演出もスムーズ。特に小さな子供にとっては、屋内で落ち着いた空間が安心感につながります。
照明を柔らかく当てるライティング技術で肌を綺麗に見せたり、背景紙を使ってシンプルに仕上げることで、主役の表情を最大限に引き立てられます。
ただし、自然光に比べると“表情の動き”を引き出しにくいため、カメラマンの声掛けや遊び心が重要です。
スタジオ撮影は、“安定の美”が得られる環境。プロのライティングと演出力で、落ち着いた印象の七五三写真を確実に残せます。
まとめ
七五三撮影は、子供の“今”という瞬間を永遠に残す大切な時間です。
本記事では、プロ視点で解説した『七五三撮影のコツ』を通して、光・構図・表情の3要素を意識することの重要性をお伝えしました。
七五三撮影を成功させる最大のコツは、“技術よりも心の余裕”です。
準備を整え、笑顔を引き出し、自然な光を味方につければ、どんな一枚も特別な記録になります。
次は、この記事で学んだポイントを実践してみてください。
あなたのレンズ越しに、家族の“今”が最高の形で残せるはずです。
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