
「旅行に持っていくなら、これ1本しかない」——ぼくがそう確信するまでに、1年かかりました。
33万円出して買うべきか。Sigmaで十分じゃないか。そもそも自分の撮り方に合っているのか——ぼく(チュートラール)も購入前に同じことで迷いました。
この記事では、α7IVのメインレンズとしてFE 24-70mm F2.8 GM IIを1年以上使い続けた上での正直な評価を書きます。「買ってよかった」だけじゃなく「ここは正直微妙だった」「こういう人はSigmaのほうがいい」という本音まで、包み隠さずお伝えします。
この記事を読むとわかること
- FE 24-70mm F2.8 GM IIの実際の使い心地(スペック表には出ない部分)
- Sigma 24-70mm F2.8 Artと約25万円の差に見合う価値があるかどうか
- 「重すぎて使えない」は本当か(1年使った感想)
- 旅行・ポートレート・スナップ・動画での実際の運用感
- 自分に向いているか・向いていないかの正直な判断基準
結論から言います
「何でも撮りたい、1本で完結させたい」人への、今のSONY Eマウントにおける最高解答です。
ただし、全員にすすめるつもりはありません。重量・価格・撮影スタイルによっては、SigmaやFE 24-105mm F4の方が正解になる人も確実にいます。そこを正直に書いていきます。
スペック:初代GMから何が変わったか
「GM IIって結局どこがよくなったの?」という疑問から始めましょう。
| 項目 | GM II(現行) | GM I(初代) |
|---|---|---|
| 重量 | 695g | 886g |
| 全長 | 119.9mm | 136mm |
| 最短撮影距離(広角端) | 0.21m | 0.38m |
| 最大撮影倍率 | 0.32倍 | 0.24倍 |
| AF駆動 | XDリニアモーター×4基 | SSM |
| 絞り羽根 | 11枚(円形) | 9枚 |
| 絞りリング | あり | なし |
| 防塵防滴 | あり | あり |
3大進化ポイントは①191gの軽量化、②最短撮影距離が0.38m→0.21mに短縮、③XDリニアモーター4基によるAF刷新です。
初代を使ったことがある方にとっては、この3点だけで十分「買い替える理由」になります。初代を知らない方でも、これが現行最高スペックのズームレンズであることはスペック表から伝わるはずです。
「191gの軽量化」は数字以上の体感変化がある
正直に言います。695gはまだ重いです。
α7IV(657g)と合わせると合計1,352g。首からかけて一日中歩くと、夕方には肩が疲れてきます。
でも初代886gと比べると話が変わります。ぼくは初代を借りて撮影した経験があるのですが、あの重さは「出かける前から憂鬱になる」レベルでした。「重いからバッグから出すのが面倒」という状態になると、シャッターチャンスを逃します。
GM IIの695gは、「疲れてもまだ撮れる」と思えるギリギリのラインです。全長も119.9mmに短縮されたことで、カメラバッグの収まりとレンズの取り回しが実際によくなりました。
旅行に「念のため」持っていくかどうかの判断が、初代とGM IIでは明確に変わります。ぼくはGM IIに変えてから、持ち出し頻度が増えました。
関連記事:FE 40mm F2.5 G レビュー|軽量173gの実力を検証
旅行・日常スナップで「できるだけ軽くしたい」なら、40mm F2.5 Gとの選択も視野に入れてください
描写・ボケ:「ズームのくせに」は過去の話
解像力:開放F2.8から周辺まで崩れない
結論:開放から使えるレベル。特に広角端の周辺解像が際立つ。
開放F2.8から中央・周辺ともにしっかりシャープです。F4〜F5.6まで絞れば全域でほぼ完璧な解像感が出て、風景写真で遠くの建物の細部まで潰れずに写ります。
「ズームレンズは開放だと甘い」という先入観を持っている方——GM IIはその常識を覆してきます。
ボケの質:ズームで「単焦点に迫る」とはどのレベルか
結論:ズームとして最高水準。ただし単焦点F1.4と比べると当然差はある。
11枚円形絞りによるボケは滑らかで、70mm端でF2.8のポートレートを撮ると背景が自然に柔らかくなります。点光源の玉ボケも均一の円形で、粗さを感じません。
「ポートレートで背景を大きく溶かしたい」という目的だけなら単焦点を選ぶべきです。ただし「1本で何でも撮れてボケもきれいに出したい」——その答えとして、GM IIは現在のズームレンズで最高です。
関連記事:FE 85mm F1.4 GM|ポートレートで単焦点を選ぶ理由
ボケ重視でポートレートを撮るなら、85mm F1.4 GMとの使い分けを考えてみてください
AF性能:XDリニアモーター4基で何が変わるか
結論:速い・静か・正確。動体・動画どちらでも安心して使える。
XDリニアモーターを4基搭載した恩恵は、使ってみると確かに体感できます。
- 静止被写体:迷いなくほぼ瞬時に合焦。迷い続けてシャッターチャンスを逃すことがない
- 動く被写体:子ども・ペット・スポーツでも被写体認識と組み合わせて追従が続く
- 動画:AF駆動音がほぼ無音。Vlog中に「レンズの音が入った」と後悔することがない
特に動画撮影でのAF静粛性は体感差が大きいです。以前使っていたSigma 24-70mm F2.8 Artは動画AFでわずかにレンズ音が気になる場面がありましたが、GM IIではその心配がありません。
「最短0.21m」は思っていた以上に頻繁に使う
初代GMの最短撮影距離は0.38mでした。テーブルの料理や小物を撮ろうとするたびに「もっと近づきたいのに近づけない」ストレスがありました。
GM IIは24mm時に0.21mまで近づけるようになりました。最大撮影倍率0.32倍は、マクロ的な表現にも対応できるレベルです。
旅行先でのカフェのランチ、友人の手元のアクセサリー、観光地の小さな看板——「ちょっと寄って撮りたい」シーンがズームレンズ1本でカバーできるのは、日常撮影でのストレス軽減に直結します。
焦点距離別の実際の使い方
「24-70mmって結局どんな場面で使うの?」という疑問に答えます。
| 焦点距離 | ぼくの主な使い方 | 向いているシーン例 |
|---|---|---|
| 24mm | 建築・インテリア・広い場所での集合写真 | 室内全体・街の広角スナップ |
| 35mm | 日常スナップ・街歩き・人物のいる風景 | 最もよく使う帯域。迷ったらここ |
| 50mm | ポートレート(軽め)・料理・物撮り | 人の見え方に近い自然な画角 |
| 70mm | ポートレートのバストアップ・遠くの被写体 | 背景を適度に圧縮した人物写真 |
ぼくの実感では、35〜50mmがこのレンズの本領です。この帯域でのシャープさとボケのバランスが特によく、「このレンズじゃないと撮れない写真」がこのあたりで生まれます。
Sigma・24-105・単焦点との徹底比較
4択比較表
| レンズ | 重量 | 価格 | F値 | こんな人向き |
|---|---|---|---|---|
| FE 24-70mm F2.8 GM II | 695g | 約33万円 | F2.8通し | 画質・AF・サイズすべてに妥協したくない人 |
| Sigma 24-70mm F2.8 DG DN Art | 830g | 約8万円 | F2.8通し | コスパ優先・静止物メインで描写は十分欲しい人 |
| FE 24-105mm F4 G OSS | 663g | 約13万円 | F4通し | 望遠側が欲しい・OSS(レンズ内手振れ補正)が必要な人 |
| FE 35mm F1.4 GM(単焦点) | 524g | 約18万円 | F1.4 | 1つの画角を極めたい・ボケ量最優先の人 |
SigmaかGM IIか:25万円の差に見合う価値はあるか?
正直に言います。Sigmaの描写は本当に優秀です。
静止被写体の解像感で言えば、GM IIとSigmaの差を日常撮影で体感できる場面はそれほど多くありません。「静止物中心・スタジオ撮影が多い・予算を抑えたい」という方なら、Sigmaで浮いた25万円を他の単焦点レンズやボディに使う方が賢い判断だと思います。
ではGM IIを選ぶ理由は何か。ぼくが実感しているのは3点です。
① 重量差135g(695g vs 830g)の積み重ね
数字では小さく見える135gの差ですが、1日8時間の撮影を続けると体感差があります。旅行・フォトウォーク・イベントなど「長時間持ち続ける」撮影では、軽さが直接「撮影への意欲」に影響します。
② XDリニアモーターのAF:特に動体・動画で差が出る
子どもや動物を撮る・動画でAFを使う——こういったシーンでは、GM IIのAF速度・静粛性・追従精度がSigmaより上です。「静止物しか撮らない」ならこの差は関係ありませんが、動体や動画を使う方には価値があります。
③ 最短撮影距離(0.21m vs 0.35m)
テーブルフォト・物撮り・旅先での近接撮影。Sigmaは最短0.35mで、GM IIの0.21mと比べると「寄れない」と感じる場面があります。
結論:「静止物中心でコスパ優先」ならSigma。「動体・動画・旅行・オールラウンド」ならGM IIを選んで後悔しません。
FE 24-105mm F4との比較:「F2.8じゃなくていい」ならどっちか
| 比較ポイント | FE 24-70mm F2.8 GM II | FE 24-105mm F4 G OSS |
|---|---|---|
| 重量 | 695g | 663g |
| 価格 | 約33万円 | 約13万円 |
| 開放F値 | F2.8(明るい) | F4(暗め) |
| 焦点距離 | 24-70mm | 24-105mm(望遠側が長い) |
| 手振れ補正 | なし(ボディIBIS依存) | OSS搭載 |
| 最短撮影距離 | 0.21m | 0.38m |
「夜の手持ち撮影が多い」「ボケをしっかり出したい」ならF2.8の優位性は明確です。一方で「旅行で望遠も使いたい」「予算を20万円以内に抑えたい」なら24-105 F4が現実的な選択肢です。
正直なデメリット:ここは微妙だった
良い面だけ書くのはレビューではありません。ぼくが実際に感じた不満を書きます。
① 695gはやはり重い。特に旅行の終盤で効いてくる
「初代より軽くなった」は正しいのですが、絶対値として695gは重いです。旅行3日目の夕方、「もうレンズを外して歩きたい」と思ったことがあります。軽量を最優先するなら、これ1本より軽量レンズ2〜3本の方が正解のこともあります。
② 33万円という価格は、やはり簡単に出せる金額ではない
Sigmaが8万円で同等に近い画質を出している現実を見ると、価格差の合理性を整理する必要があります。「AF速度・重量・最短撮影距離の差に25万円の価値を感じるか」が、購入の判断ラインです。
③ 大ボケを求めると物足りない
「85mmでF1.4の大きなボケが欲しい」——その用途には単焦点が正解です。GM IIのF2.8は「そこそこボケる」ですが、「溶けるように消える」ほどのボケ量ではありません。
関連記事:FE 50mm F1.2 GMレビュー|神レンズだけど初心者に無条件では勧めない理由
「1本で何でも撮りたい」と「大ボケが欲しい」が両立しない理由は、このレビューで解説しています
④ レンズ内手振れ補正(OSS)がない
α7IV/α7CIIのボディ内手振れ補正(IBIS)に依存します。ほとんどのシーンで不満はありませんが、動画の手持ち撮影で最大限の補正が欲しい場合は「アクティブモード」を使う必要があります。
購入前に確認したい3つのチェックポイント
GM IIを買う前に、自分に問いかけてほしいことを3つ挙げます。
チェック① 撮影対象が「動く被写体」か「静止被写体」か
動体(子ども・ペット・スポーツ)や動画が多い → GM IIのAFが生きる
静止物(風景・建築・テーブルフォト)が中心 → Sigmaでも十分
チェック② 旅行・撮影イベントで長時間歩くか
「1日8時間以上持ち歩く」が多い → 重さの差が積み重なる。GM IIの695gは許容範囲
「短時間・車移動が中心」 → 重さの差は気にしなくていい
チェック③ 「ボケ重視のポートレート」が目的の中心か
ボケを大量に出したい → 単焦点F1.4の方が向いている
「万能に使いたい」が第一 → GM IIが最適
こんな人に向いている・向いていない
✅ FE 24-70mm F2.8 GM II が向いている人
- 旅行・イベント・スナップなど「今日の撮影対象が決まっていない」ことが多い人
- レンズ交換の手間を減らして1本で完結させたい人
- 動体(子ども・ペット・スポーツ)を撮る機会がある人
- 動画と写真を両方使う人
- 「最終的にはGM IIを持ちたい」という目標がある人
⚠️ 他のレンズを検討したほうがいい人
- ポートレートで大ボケを出すことが最大の目的 → FE 85mm F1.4 GM / FE 50mm F1.2 GM
- 予算を抑えてF2.8通しの画質が欲しい → Sigma 24-70mm F2.8 DG DN Art
- 望遠側を105mmまで伸ばしたい・レンズ内手振れ補正が必要 → FE 24-105mm F4 G OSS
- 旅行で極力軽くしたい → FE 24-70mm F2.8 GM II+40mm F2.5 G の使い分け、または単体で 40mm F2.5 G
1年使ってわかったこと:「信頼できるメインレンズ」の意味
購入1年後の正直な感想です。
よかったと思う瞬間:突然の雨でも防塵防滴で撮り続けられた。夜の街撮りでF2.8の明るさが助かった。旅先で「このレンズだけ持ってきてよかった」と何度も思った。子どもの発表会でAFが外れなかった。
微妙だったと思う瞬間:ハイキング中、695gが重くて途中からリュックにしまってしまった。予算の都合で単焦点レンズへの追加投資が後回しになった(このレンズに予算を使い切ったため)。
総合的な評価:ぼくの撮影スタイル(旅行・スナップ・ポートレート・イベントの混在)には、現時点でこのレンズ以上の選択肢が見当たりません。「1本で信頼できる」という安心感は、撮影の楽しさに直結します。
よくある不安と正直な回答
Q1. 初心者がいきなり33万円のレンズを買っても大丈夫?
撮影を長く続けていく意志があるなら、合理的な投資です。ただし「写真がどれくらい続くかわからない」段階なら、まずキットレンズや24-105 F4で撮り続けてから判断する方が賢明です。レンズの価値は「使い続けること」でしか生まれません。
Q2. Sigmaで十分という意見が多い。本当に差があるか?
「静止物の画質」という意味では、差を体感できる場面はそれほど多くありません。差が出るのは重量・AF速度・最短撮影距離の3点です。この3点が自分の撮影スタイルに影響するかどうかが判断基準です。
Q3. α7CIIとの組み合わせはどうか?
α7CII(約514g)+ GM II(695g)の合計は約1,209g。α7IVより軽い組み合わせになり、バランスも良いです。ぼくはα7IVとの組み合わせがメインですが、α7CIIとの相性も悪くないと感じています。
Q4. 手振れ補正がないのは動画で困るか?
α7IV/α7CIIのIBIS(ボディ内手振れ補正)で基本的にカバーできます。歩きながらのVlogなど強烈な手振れが出るシーンでは「アクティブモード」を使えば問題ありません。
Q5. 大三元3本すべて揃える必要はあるか?
必要ありません。まず24-70mm F2.8 GM IIを基点にして、「広角が欲しくなったら16-35mm F2.8 GM II」「望遠が必要になったら70-200mm F2.8 GM II」という順番で追加するのが自然です。
関連記事:FE 70-200mm F2.8 GM II レビュー
大三元の望遠を揃えるか迷っている方は、この記事で用途を確認してください
Q6. 中古市場の状況は?
2024年発売のため、まだ品数が少なく値崩れもしていません。中古相場は25〜28万円台が目安です。新品と比べて数万円の差になる程度なので、「長く使う」前提なら新品購入の方が安心感があります。
Q7. フィルター径67mmは大きすぎないか?
67mmは中〜大口径の部類です。プロテクトフィルターやNDフィルターを追加購入する際のコストが、小口径レンズより上がります。旅行・風景での長時間露光にNDフィルターを使う方は、67mm対応品を用意しておく必要があります。
総合評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 描写・解像 | ★★★★★ | 開放F2.8から周辺まで崩れない。ズームとして最高水準 |
| ボケの質 | ★★★★☆ | 滑らかで自然。ただし単焦点F1.4の溶け感には届かない |
| AF性能 | ★★★★★ | 動体・動画どちらも不安なし。特に動画AFの静粛性が優秀 |
| 携帯性 | ★★★☆☆ | 695gは重め。初代比では格段に改善されたが絶対値は重い |
| 最短撮影距離 | ★★★★★ | 0.21mは旅行・食事撮影・物撮りで絶大な恩恵 |
| コストパフォーマンス | ★★★☆☆ | Sigmaと比較すると価格差の整理が必要。価値観次第 |
| 総合 | ★★★★☆(4.5/5) | 「1本で万能」を求める人への現時点での最高解答 |
まとめ:あなたに向いているかどうかの最終判断
3行で結論を繰り返します。
- 「1本で何でも撮りたい」「レンズ交換が面倒」「動体・動画もある」 → GM IIが最適
- 「SigmaかGM IIで迷っている」 → 動体・動画を撮るなら差額の価値がある。静止物中心ならSigmaで十分
- 「旅行に1本だけ持っていくレンズを探している」 → GM IIは現時点での最高解答
ぼくのレンズキットの中で、最も出番が多い1本です。33万円という価格を見て躊躇する気持ちはよくわかります。でも「1本で完結する信頼感」が撮影を続ける意欲に直結するなら、その価値は十分にあります。

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