FE 85mm F1.4 GM、初代か二代目どっちを買うべき?両方使った私の正直な答え

晴れた午後、カバンからレンズを取り出すとき、その重さがいつもより少し気になる日がある。

FE 85mm F1.4 GM の初代(SEL85F14GM)と二代目(SEL85F14GM2)、どちらを選ぶべきか——この問いを、両方を実際に使った立場からはっきり答えます。

結論を先に言うと、「誰にでも二代目を勧められるか」というと、そうじゃない。初代ユーザーが乗り換えるかどうかは、あなたが今何に困っているかによって変わる話です。両方を使ってきた側の、正直な感想をここに書きます。

目次

初代と二代目、数字の話を片付けておく

まず数字の話を片付けておきます。Sony公式でも確認できますが、要点はこちらです。

初代(SEL85F14GM) 二代目(SEL85F14GM2)
発売年 2016年 2024年
重量 820g 642g
AF方式 DDSSM XD リニアモーター
AF速度 基準 初代比 約3倍
追従性能 基準 初代比 約7倍
最短撮影距離 0.85m 0.80m
絞り羽根 11枚 11枚

重量差は178g。数字だけ見ると地味に感じるかもしれませんが、これが一日の撮影後半でどう効いてくるか、あとで詳しく話します。

実際に撮り比べて感じた、ボケの違い

正直に言います。二代目に変えてボケで「こっちにしてよかった」と感じる場面は、日常撮影レベルでは多くはありません。

初代のボケは、今見ても十分すぎるほど美しい。開放F1.4で撮ったポートレートの、あの滑らかで少し芯のある立体感——それが「FE 85mm F1.4 GMらしさ」だと思っていたし、そこに不満を感じたことは正直ほとんどなかった。

ただ、二代目のボケはより自然な溶け方をすると感じます。背景が手前の被写体を主張しすぎない、というか。ライカのSummilux系が好きな方が「溶けるようなボケ」と表現するあの感覚に、少し近づいた印象です。ポートレートで人物だけをじっと浮かび上がらせたいとき、その差が出てくる気がする。

GMレンズ全体の選び方が気になる方は、GMレンズの選び方まとめも参考にしてください。

ただ、これは好みの話でもある。初代の、少し硬さのある立体的なボケが好きな方は、二代目に乗り換えて「なんか違う」と感じる可能性があります。アップグレードではなく、方向性の変化と思ったほうがいい。

AFの速さ・精度はどれだけ変わった?

ここは数字の通りです。Sony公式の「AFスピード 初代比約3倍、追従性能 初代比約7倍」——この差、使うとはっきりわかります。

初代のAFも、「遅くて使えない」というレベルでは全くない。静止している被写体なら、ほぼストレスを感じることはありません。ただ、動く被写体を追うシーン——子どもや猫、動きのあるポートレート——では、二代目のほうが明らかに食いついてくれます。「あ、これは違う」と感じる場面が、撮影1時間のなかで何度もありました。

組み合わせるボディによってAF性能の差はさらに出ます。α7IVやα7CIIとの組み合わせについてはこちらのレビューも参考にしてください。

もう一つ、動画を撮る人に刺さるポイントとして——AF音が、ずいぶん静かになりました。 初代のDDSSMモーターは、外付けマイクに近い状態で使うとわずかにノイズが乗ることがあった。二代目のXDリニアモーターはほぼ無音で、動画を撮りながら余計なことを気にしなくていい。写真専用で使う方にはあまり関係ない話ですが、写真と動画を兼用する方には意外と大きな違いです。

重さと持ち出しやすさの変化

820g → 642g。178gの軽量化。

「ランチパック1個分」と最初は思っていました。たいしたことないな、と。

でも、撮影の後半——2時間を超えてくるころ——に、この差が積み重なってくる。α7IVと初代を組み合わせて街撮りに出ると、帰り道に「もう一枚撮ろう」という気力が薄れていく感覚があった。それが疲労なのか、重さなのか、当時はよくわかっていなかった。

二代目に変えてから、終盤でも撮る気持ちが続くようになりました。 体力の問題ではなく、持ち出しの「心理的な重さ」が変わったのだと思う。

単焦点レンズをはじめて選ぶ方には、単焦点レンズ入門まとめもあわせてどうぞ。

カメラバッグやストラップとの相性も変わります。重心が変わるので、今まで使っていたストラップが急に快適に感じるようになることもある。私が愛用しているバッグはこちら

初代から二代目に乗り換えた私の正直な感想

「後悔はしていない」——ただ「劇的に変わったか」と聞かれると、正直そうでもない。

それが本音です。

ボケは確かに洗練された。AFは速くなった。軽くなって、持ち出しの心理的ハードルが下がった。どれも嘘ではない。でも、初代を使っていた数年間、私は十分にいい写真を撮れていた。「もっといいレンズがあれば」と思った瞬間は、ほとんどなかった。

二代目を手に入れてよかったのは、レンズの性能が上がったからというより「このレンズなら行こう」という気持ちが少し増えたことです。軽さというのは、機材のスペックではなく、撮影習慣に関わるものだと身をもって感じました。

「二代目のほうが良いレンズか」——答えはYESです。でも「二代目でないといい写真が撮れないか」という問いへの答えは、絶対にNoです。

結論——FE 85mm F1.4 GM、初代か二代目どっちを買うべきか

① 初代を持っていない人へ

迷わず二代目(SEL85F14GM2)を選んでください。

同じ予算を出すなら、二代目です。AFの速さ、軽さ、ボケの方向性——どれをとっても新しいほうが洗練されていて、「やっぱり初代にしておけばよかった」と後から思う理由が見当たらない。Eマウントでポートレートを撮るなら、これを選んで後悔はしないと思う。

私が購入したのはこちら

② 初代を持っていて、買い替えを検討している人へ

「今、初代で具体的に困っていることはあるか」をまず問い直してください。

AFが遅くて動体を逃している、重さで撮影本数が減っている、動画でAF音が気になる——こういった具体的な課題があるなら、SEL85F14GM2への買い替えは明確に意味があります。

でも「なんとなく新しいほうが良さそう」という理由なら、初代の中古を売って差額をほかの撮影体験——旅行費、照明機材、フィルムの現像——に使うほうが、写真生活はきっと豊かになります。

中古相場はこちら


Sony FE 85mm F1.4 GMは、初代も二代目も、ポートレートレンズとして選んで後悔しない一本です。 どちらを選ぶかは、あなたが今どこにいるかによって変わるだけ。

どちらに決めても、このレンズが生み出すF1.4の光と空気感は、きっと裏切らない。

組み合わせるボディはこちら


最後に少しだけ、個人的な話をさせてください。

私がこのレンズを手放せないのは、スペックのためじゃない。撮影後にデータを見たとき、「今日は撮れた」と感じる確率が——このレンズを持ち出した日のほうが、明らかに高い。

F1.4の開放で、背景がやわらかく溶けて、その人の輪郭だけが空気の中に浮かび上がる。その瞬間を何度見ても、毎回少し息をのむ。

初代でも、二代目でも、それは変わらない。数字の比較は意思決定に必要だけど、最終的にカメラバッグを手に取る理由は、いつもその先にある。


スペック数値(重量・AF倍率・発売年)はSony公式スペック表・プレスリリースに基づきます。
掲載作例はすべて筆者撮影。無断転載禁止。

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