
「夜景を撮ったのに、ブレてるし暗いし全然きれいに撮れない…」
ぼく(チュートラール / ブログ「αの視点」)も最初はそうでした。せっかく夜景スポットに行ったのに、スマホで撮ったほうがきれいだったという苦い経験が何度もあります。夜景撮影は昼間と違うルールがあり、設定を理解しないと全部「暗くてブレた失敗写真」になってしまう。
でも、正しい設定と考え方を身につければ、SONYのカメラは夜景に恐ろしく強いです。この記事では、α7IV・α7CIIで実際に使っている設定値とともに、夜景撮影をマスターするコツを解説します。
この記事でわかること
- 夜景撮影で失敗する本当の原因と解決策
- シャッタースピード・ISO・絞り(F値)の夜景向け設定値
- 三脚なし・手持ちで夜景を撮るためのコツ
- α7IV・α7CIIに最適なレンズ選び
- よくある失敗パターンとビフォーアフターの改善策
夜景撮影が難しい本当の理由

「光が少ない」は三重苦を生む
昼間の撮影が簡単なのは、光が豊富にあるから。カメラは光を使って写真を作る機械なので、光が少ない夜は3つの問題が同時に起きます。
問題①:シャッタースピードが遅くなる → 手ぶれ・被写体ブレ
光を集めるために、シャッターを長く開けないといけない。結果として少し手が動いただけで写真がぶれます。
問題②:ISOを上げないといけない → 画質が荒くなる
ISO(センサーの感度)を上げるほど明るく撮れますが、ノイズ(ザラザラした粒状感)が増えます。
問題③:絞りを開けたい → ピントが薄くなる
F値を小さく(絞りを開く)するほど明るく撮れますが、ピントが合う範囲が狭くなります。
この3つをシャッタースピード・ISO・絞り(F値)の「露出の三角形」と呼びます。夜景撮影とは、この3つのバランスをどう取るかの戦いです。
α7IV・α7CIIでの実際の設定値

シャッタースピード:手持ちの限界を知る
手持ちで撮るときのシャッタースピードの目安は、「焦点距離の逆数」です。
- 50mmレンズ → 1/50秒以上(手ぶれ補正ありなら1/15〜1/25秒も可)
- 24mmレンズ → 1/25秒以上
- 85mmレンズ → 1/100秒以上
α7IVは5.5段分、α7CIIは7段分の光学式手ぶれ補正(OSS非搭載レンズでもボディ内5軸補正)を持っています。この補正のおかげで、焦点距離の逆数より2〜3段分遅いシャッタースピードでも手持ちで撮れます。
ぼくの夜景手持ち設定(50mm F1.2 GM使用時)
- シャッタースピード:1/30秒
- ISO:3200〜6400
- 絞り:F1.4〜F2
三脚を使う場合は話が変わります。シャッタースピードを2〜10秒まで遅くし、ISOは100〜400に下げて高画質を狙います。夜景撮影の「本気モード」です。
ISO:SONYセンサーならここまで上げられる
SONYのフルサイズセンサーは、高ISO域に強いのが特徴です。
| ISO | 画質の目安 |
|---|---|
| ISO 100〜800 | ほぼノイズなし。快晴の昼間向け |
| ISO 1600〜3200 | 等倍では少し荒さが出るが、SNS・印刷で十分きれい |
| ISO 6400〜12800 | 粒状感が出るが夜景撮影では許容範囲 |
| ISO 25600以上 | ノイズが目立つ。緊急時のみ |
α7IVでぼくが「ここまでならOK」と判断するのはISO 12800です。それ以上は現像ソフト(Lightroom)でのノイズリダクション処理が必要になります。α7CIIも同等の耐性があります。
失敗例(ビフォー):ISO 800で撮影。シャッタースピードが1/4秒になり、手ぶれで写真全体がぼやけた。
改善後(アフター):ISO 6400に上げ、シャッタースピードを1/60秒に。ノイズは増えたが、夜景がシャープに写った。
「ノイズ vs ブレ」の選択なら、ブレは修正不可能、ノイズは現像で軽減可能。迷ったらISOを上げてシャッタースピードを稼ぐ判断が正解です。
絞り(F値):夜景には開放が基本
夜景では、光を最大限に取り込むために絞りを開く(F値を小さくする)のが基本です。
- 単焦点レンズ(F1.2〜F1.8):最も有利。開放付近で撮ることで暗い場面も明るく撮れる
- ズームレンズ(F2.8):十分な明るさ。汎用性が高く夜景にも対応できる
ただし注意点があります。絞りを開けすぎると、街灯などの点光源に「コマ収差」と呼ばれる光の滲みが出ることがあります。特にF1.2〜F1.4の開放付近では、画面の隅に向かって光が滲みやすい。気になる場合はF2〜F2.8まで少し絞るだけで大幅に改善します。
ぼくの基本設定(街中夜景スナップ)
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| モード | マニュアル(M)またはA(絞り優先) |
| 絞り | F2(50mm F1.2 GM使用時) |
| シャッタースピード | 1/60秒 |
| ISO | AUTO(上限12800に設定) |
| 手ぶれ補正 | オン |
| フォーカスモード | AF-C(動くものがあれば) |
夜景撮影に最適なレンズ選び

夜景撮影では、「明るいレンズ(F値が小さいレンズ)」が圧倒的に有利です。ぼくが実際に夜景で使うレンズを紹介します。
単焦点レンズ:F1.2〜F1.8の強み
50mm F1.2 GMは夜景ポートレートで無類の強さを発揮します。F1.2という明るさは夜間の光量不足を補い、背景の街灯や光をぼかして人物を際立たせます。ただし778gと重いため、長時間の手持ち撮影は体力が必要です。
20mm F1.8 Gは夜景撮影でぼくが最も多用するレンズの一つです。超広角の画角で光跡(車のライトが線になる効果)や建物全体を入れた構図が撮れる。173gの軽量さも夜間の長時間撮影向きです。

ズームレンズ:F2.8で汎用性を確保
24-70mm F2.8 GM IIは夜景撮影の万能選手です。F2.8通しの明るさを保ちながら焦点距離を変えられるため、広い夜景から望遠気味のアップまで1本で対応できます。三脚あり撮影なら明るさよりも画質重視になるため、F2.8ズームで十分な場面がほとんどです。
【内部リンク:24-70mm F2.8 GM IIのレビュー記事】
夜景撮影の構図5選
1. 水面リフレクション
水たまり・川・湖などに映った夜景の倒影を使った構図。光の映り込みで写真に「2倍の情報量」が生まれます。雨上がりの路面は最高の撮影チャンスです。20mm F1.8 Gの超広角で地面すれすれから撮ると迫力のある1枚になります。
2. 光跡(ライトトレイル)
三脚を使ってシャッタースピードを5〜20秒に延ばすと、車のヘッドライト・テールライトが光の線になります。交通量が多い橋や交差点が狙い目。絞りはF8〜F11に絞って全体的にシャープに仕上げます。
3. 夜景ポートレート
人物を手前に、夜景を背景に入れる構図。F1.2〜F1.4の単焦点で撮ると、背景の街灯が大きくきれいに丸ボケになります。人物の顔に瞳AFで確実にピントを合わせ、ISO 3200〜6400・シャッタースピード1/60秒前後で撮るのがぼくの基本です。
4. 建物や橋のシルエット
明るい夜空や街の光を背景に、建物・橋・木などをシルエットで撮る構図。露出を背景の明るさに合わせて設定し、手前の被写体はあえて黒く潰す。シンプルな構図ですが、印象的な1枚が撮れます。
5. 街灯・ネオンのクローズアップ
夜の繁華街や商店街で、看板や装飾の光をクローズアップで撮る。絞りを開けて背景を大きくボケさせ、光の色味を活かします。85mm F1.4 GMで少し離れた位置から撮ると、圧縮効果で光がぎゅっと密集した構図になります。
よくある失敗パターンと改善策
失敗①:全体的に暗くてノイズだらけ
原因:ISOを上げることを恐れて低ISO設定のままにした結果、露出不足になった。
改善策:ISO AUTOの上限を12800に設定し、カメラに任せる。最初はISO AUTOで撮影感覚をつかんでから、マニュアル設定に移行するのがおすすめです。
失敗②:ピントが全体的に甘い・ぼやけている
原因:手ぶれか、暗い場所でAFが迷ってピントが外れた。
改善策:
- 手ぶれ→シャッタースピードを上げる(ISOを上げて補う)
- AFミス→フォーカスエリアを「スポット」に変更し、ピントを合わせたい部分を指定する。それでも難しければMFで手動調整。
α7IVなら「フォーカスアシスト(拡大表示)」を使うと、暗い場所でもピントの確認が正確にできます。
失敗③:街灯・信号が変な色になる
原因:ホワイトバランス(WB)がAUTOのまま、光源ごとに色が変わってしまった。
改善策:夜景ではWBをAUTOではなく蛍光灯(4000K前後)か電球(3200K前後)に固定する方法があります。ただしRAWで撮影していれば、現像時にWBを後から自由に調整できます。ぼくは夜景でもRAW撮影を必ず選択するのはこの理由からです。
よくある質問FAQ
Q1. 三脚なしで夜景はきれいに撮れますか?
A. 条件次第で十分撮れます。
α7IV・α7CIIのボディ内手ぶれ補正は非常に優秀で、明るいレンズ(F1.2〜F2.8)と組み合わせれば手持ち夜景は十分可能です。ただし、光跡撮影や超高画質を狙うなら三脚は必須です。「気軽な夜景スナップ」なら手持ちで問題ありません。
Q2. 夜景はRAWとJPEGどちらで撮るべきですか?
A. 必ずRAWで撮ることをおすすめします。
夜景は露出のコントロールが難しく、撮影時に完璧な露出を出すのは上級者でも難しい。RAWで撮っておけば、暗く撮れた写真を明るく持ち上げたり、ホワイトバランスを変えたり、ノイズリダクションをかけたりと後処理の自由度が大幅に上がります。JPEGでは後処理の限界が低く、修正できないことが多い。

Q3. 夜景を撮るおすすめの時間帯はいつですか?
A. 日没後15〜30分の「ブルーアワー」が最も美しいです。
日没直後のわずかな時間、空が深いブルーになる時間帯を「ブルーアワー」といいます。街灯や建物の明かりが点灯し始め、空の青と人工光のオレンジが共存する美しい色彩が生まれます。完全に暗くなった「ディープナイト」より、このブルーアワーのほうが夜景写真としての情報量が多く、ドラマチックな1枚になります。日没時刻の10分前にスポットに着いておくのがベストです。
まとめ:今日の撮影から試せる1つのポイント
夜景撮影は「設定さえ覚えれば劇的に変わる」分野です。理屈が多く感じるかもしれませんが、実際には3つの数字(シャッタースピード・ISO・F値)を調整するだけです。
今日からすぐ試せるポイントを1つ選ぶとしたら——
「ISO AUTOの上限を12800に設定する」
これだけでいいです。ISO AUTOの上限設定は、α7IVなら「MENU → 露出/カラー → 露出 → ISO AUTO最高感度」から変更できます。これをやるだけで、夜景での手ぶれ失敗写真がかなり減ります。
夜の街には、昼間には存在しない光と影の世界があります。設定を武器に、夜景撮影に出かけてみてください。
チュートラール / ブログ「αの視点」
SONY α7IV・α7CII使い / 写真と筋トレ中心の生活

コメント