
「50mm F1.2 GMは買う価値があるのか」
ぼく(チュートラール / ブログ「αの視点」)が長いこと悩み続けたレンズです。価格は約22万円、重さは778g。そう簡単に「えいや」と買える金額でも重さでもない。それでも、実際に使い込んだ結論は「このレンズでしか撮れない世界がある」です。
この記事では、α7IVとの組み合わせで使い続けた正直な感想をお伝えします。
スペック:数字で見る50mm F1.2 GM
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 焦点距離 | 50mm |
| 最大絞り | F1.2 |
| 最小絞り | F22 |
| 絞り羽根 | 11枚(円形絞り) |
| 最短撮影距離 | 0.4m |
| フィルター径 | 72mm |
| 全長 | 108mm |
| 重量 | 778g |
| 防塵防滴 | あり |
| AF駆動 | XD Linear Motor × 11基 |
| 実売価格 | 約22万円前後 |
数字の時点で圧倒されます。F1.2、XD Linear Motor 11基、11枚羽根の円形絞り——SONYがGMラインナップに込めた本気が、スペックシートからにじみ出ています。
描写・ボケ:これが「神レンズ」と呼ばれる理由
正直に言います。F1.2の世界は、F1.8やF2とは別次元です。
開放F1.2で撮った人物写真は、背景が溶けるように消えます。「ボケる」という表現が生ぬるいくらい、前後の空間が消失する感覚。α7IVのフルサイズセンサーと組み合わさると、主役だけが浮き上がる立体感が生まれます。
11枚の円形絞り羽根によるボケの質も極めて高い。点光源が均一の円形を描き、口径食(玉ボケが楕円になる現象)も絞り開放から最小限に抑えられています。夜景ポートレートの玉ボケがここまできれいに丸くなるレンズはそう多くない。
解像性能はGMらしく周辺部まで均一に高い。開放F1.2でもピント面のシャープさは失われず、F2〜F2.8に絞ると全体がさらに引き締まります。風景・物撮り・ポートレートのすべてで「破綻」がないのがGMクラスの証明です。
AF性能:11基のXD Linear Motorが生む静粛性と速度
XD Linear Motorを11基搭載——これがどれほど異常なことか、他のレンズと比較するとわかります。一般的なGレンズが2〜4基搭載する中、50mm F1.2 GMは11基で制御しています。
結果として、AFはほぼ無音で瞬時に合焦します。動画撮影中のAF駆動音が気になることもなく、ポートレート撮影で被写体が動いてもα7IVの瞳AFが迷いなく追従します。
F1.2という薄い被写界深度でも、AF精度は安定しています。目にピントが合うと、まつ毛の1本まで解像する一方で、数センチ後ろの耳はすでにふわっとボケ始める——そのシビアな被写界深度をAFが確実に制御してくれる安心感は、実際に使ってみると感動のレベルです。
重さの現実:778gというデメリット
本音を話します。重い。本当に重い。
α7IV(本体657g)と組み合わせると、合計1,435g。約1.5kgを首にかけて1日撮り歩くと、夕方には肩と首が悲鳴を上げます。
軽量を売りにした40mm F2.5G(173g)と比べると、レンズだけで605gの差。この差は写真への集中力にも影響します。疲れてくると、構図より体力が気になり始める。
使い分けの結論として、長時間のお散歩スナップや旅行には向かない。スタジオやロケーション撮影など、場所を決めてじっくり撮るシーンで本領を発揮します。
他の50mmレンズとの比較
| レンズ | 重量 | 開放F値 | 価格 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|
| FE 50mm F1.2 GM | 778g | F1.2 | 約22万円 | ポートレート/スタジオ |
| FE 50mm F1.8 | 186g | F1.8 | 約4万円 | 日常スナップ/入門 |
| FE 50mm F2.5 G | 174g | F2.5 | 約7万円 | 旅行/軽量運用 |
| Sigma 50mm F1.4 DG DN Art | 670g | F1.4 | 約8万円 | コスパ重視の本格派 |
コスパで言えばSigma 50mm F1.4 DG DNが圧倒的です。重さも同等ながら価格は3分の1以下。純粋な「撮れる写真の質」比較では、GMとの差は確かに存在しますが、その差が22万円分あるかどうかは正直、悩ましい。
「どうしてもF1.2が必要か」「GMの描写に価値を感じるか」——この2点がYESなら、Sigmaではなくこちらを選ぶ理由になります。
総合評価
| 評価項目 | 点数 |
|---|---|
| 描写・ボケの質 | ★★★★★ |
| AF性能 | ★★★★★ |
| 携帯性 | ★★☆☆☆ |
| コストパフォーマンス | ★★★☆☆ |
| 動画対応 | ★★★★☆ |
| 総合 | ★★★★☆(4.2/5) |
まとめ:「神レンズ」は本物か
結論を言います。FE 50mm F1.2 GMは、間違いなく神レンズです。
ただし、その神性には条件があります。「じっくり撮るシーン」「ポートレートや人物撮影」「F1.2の表現を活かす場面」——この条件に当てはまるなら、他のどのレンズにも代えられない描写をしてくれます。
逆に、街歩きスナップ・旅行・子供の動き撮りが中心なら、50mm F2.5Gや40mm F2.5Gのほうが現実的です。良いレンズとは「スペックが高いレンズ」ではなく「自分の撮影スタイルに合っているレンズ」だとぼくは思っています。
22万円、778g——それを払う覚悟があるなら、このレンズは期待を裏切りません。
チュートラール / ブログ「αの視点」
SONY α7IV・α7CII使い / 写真と筋トレ中心の生活

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